電気用品安全法によって設計寿命が決められるという仮説は、24時間連続換気扇の存在によって、あっさりと否定される結果になった。
詳細は、以下の調査ログに記載してある。
だが、よく考えてみれば、電気用品安全法で定めているのは、使用温度の上限で4万時間は安全に使用できる条件であって、上限に届かない温度で使用すれば、もっと長い時間耐えられる筈だ。
24時間換気扇で例えるとしたら、こうなる。
「強運転の状態で4万時間耐えられたから、弱運転なら数倍は耐えられるだろう」
そう考えて、設計寿命を4万時間より長く設定するのは自由だ。別に電気用品安全法を違反するわけでもないし、出荷した製品が故障したとしても保証期間を過ぎていれば無償修理の必要はない。
それよりも、なぜ4万時間なのかの方が重要に思えてくる。電気用品に共通して、4万時間は安全に使用可能であるべきとした理由があるはずだ。
例えば、4万時間以上の高温下での利用を保証できる電気絶縁材料が存在していないだとか、統計データを分析した結果、電気用品の大半は4万時間を超えて使用されることがないと判明しただとか。
どのような経緯で電気用品安全法の内容が決められたかを調べてみると、IEC(国際電気標準会議)規格が関係していることが分かった。IECは、電気・電子技術分野の国際標準化を推進する組織だ。その規格と電気用品安全法は密接に関係しているらしい。
詳細は、以下の調査ログに記載した。
電気絶縁材料に関する規格である、IEC60085やIEC 60112あたりが怪しいと分かったが、いくら調べてみても4万時間に辿り着くことが出来ない。
このあたりでハッとする。僕は世界の規格クイズでチャンピオンになることを目指しているわけではないのだ。
仮にIECの規格の中で4万時間が規定されているのを見つけても、その理由まで書いてあるかは疑問だ。「電気用品安全法の決め事はIECが根拠になってたのね」、そう分かるだけの可能性が高い。
だとしたら、4万時間は受け入れよう。
誰がどんな理由で決めたのか知らないが、電気絶縁材料は使用温度の上限で4万時間耐えられるべきなのだ。
そして、電気絶縁材料のことを考えると、設計寿命を4万時間以上にすることは難しいのだ。
24時間換気扇のような例外はあるにしても。
電気用品の設計寿命は、電気用品安全法との関係で4万時間以上にすることは難しい。