日本最大級規模
前回、家電量販店で液晶ディスプレイにPSEが表示されているかを調査ログとして記したが、考えてみれば中古販売もPSEの対象だ。
そこで、中古品販売店へと向かった。
家電量販店とは違って、商品の状態を確認する客は珍しくない。あちこちで客が商品を手に取り、傷の有無や状態を眺めている。僕も遠慮なくモニターの裏面を確認させてもらった。
誤解してもらっては困るが、掘り出し物さえ見つかれば僕にも買う意思はある。調査目的で陳列されている商品を手に取ったのではなく、物色ついでにPSEマークを確認しただけだ。そもそも、PSEマークが付いている電気用品は安全を担保するための試験を通過している。安全な製品を購入したいという理由で、PSEマークの有無を確認することには問題などないはずだ。同じ液晶ディスプレイでも、発売時期によってはPSEマークの有無が異なる場合だってあり得るのだ。
そんな言い訳を頭に浮かべながら、熱心にいくつものモニターを確認していったが、気の良い店員さん達の注目を集めることはおろか、セールストークを受けることもなかった。なにより、彼らは買い取り査定に忙しそうで、こちらから声を掛けることにも気が引けるほどだ。
出来るだけ多くの製品を確認できるようにと大型店舗に向かったのだが、それにしても売り場面積が広い。店舗内も入り組んでいて、迷子になってしまいそうだ。帰宅してから確認してみたところ、日本最大級規模の店舗であることが分かった。どうりで広いわけだ。
お陰で多くのPCモニターの確認ができたし、運良くチューナーレステレビの確認も出来た。
スピーカー内蔵のPCモニター
まず、スピーカー内蔵型のPCモニターは全てがPSE対象だった。これは、JEITAの公開している自主基準とも合致するので違和感はないし、家電量販店で確認した際も同様だった。
2.パソコンの機能と、テレビジョン受信機や、その他の音響機器としての機能が独立している場合、当該パソコンはテレビジョン受信機または、その他の音響機器として対象
例:パソコンの電源を投入し機能を選択することにより、パソコン又は TV/AV 機器として各々専用の回路を動作させるもの。(各々の専用回路を直接動作させるものを含む)
JEITA IT関連機器の電気用品安全法に対するJEITA自主運用基準
https://home.jeita.or.jp/ite/itestc/data/JEITAapplyCD-ROM.pdf
なお、JEITAの自主基準については、以下の調査ログに記してある。
スピーカーを内蔵していないPCモニター
次に、スピーカーを内蔵していないPCモニターだが、販売を確認することができなかった。
ここでふと気づいたのは、そもそもPSEマークが表示されていないPCモニターは買い取りしていないのではないかということだ。
確認してみると、いくつかの買取サービスでは、PSEマークが表示されていない電気用品の買い取りをししていないことが分かった。
中古品買い取りにおいてPSE表記のない製品を対象外とするのが一般的なのだとすれば、中古品販売店でPSEマークなしのPCモニターを探しても見つかるはずはない。
だが、PSEマークのないPCモニターが店内に一体もなかったのかというと、そうではない。
それは、ジャンク品コーナーにあった。
ジャンク品といえども販売するなら電気用品安全法の対象ではなかったか。
PSEマークの対象となる製品をPSEマークの表示なしで販売することは違法行為に当たるはずだ。
そんな心配は無用だ。というのも、元々パソコンとセットになっていた製品をバラしてジャンク品として売られている様子だったからだ。PC自体は電気用品安全法の対象外だから、問題ないと思われる。きっとそうだ。
これ以上PSEの品目分類について追加調査を続けるつもりも気力もないので、ジャンク品売り場をサッサと後にすると、テレビコーナーに移動した。
チューナーレステレビ
今回の調査の最大の収穫は、チューナーレステレビのPSE対応状況を確認できたことだ。
しかも、現行機種であるドウシシャ製ORION SLHD241だった。
JEITAの自主基準と照らし合わせてみると、「例:電源投入、OS の起動、アプリケーショソフトの起動等の一連の動作を伴うもの」に当たるので、PSEマーク表示の対象外に思える。
パソコンの機能の一部としてテレビジョン受信機やその他の音響機器としての機能が含まれる場合、当該パソコンは対象外
例:電源投入、OS の起動、アプリケーショソフトの起動等の一連の動作を伴うもの。
JEITA IT関連機器の電気用品安全法に対するJEITA自主運用基準
https://home.jeita.or.jp/ite/itestc/data/JEITAapplyCD-ROM.pdf
だが、実際にはPSEマークが表示されていた。
チューナーレステレビがパソコンと扱われていないのか、ORION製品の製造元である株式会社ドウシシャがJEITAに参加してないからなのか、andoroid TVやgoogle TVといったスマートテレビのOSがパソコンOSとして認められないからなのか、HDMI端子やスピーカーの有無が影響したのかは分からない。
ただひとつ分かるのは、チューナーレステレビという品目が電気用品安全法の対象であり、PSEマークの表示対象だと考えられることだ。
つまり、チューナーレステレビがチューナー内蔵のテレビよりも安価だとされる理由には、電気用品安全法に対応するための費用が掛からないことは含まれないということだ。
チューナーレステレビが安いことと、電気用品安全法は関係ない。